Qt 基礎知識 (Hello World)

## Qtとは
Qt(C++)はWindows・Mac OS・Ubuntuのプラットフォームに対応したフォームアプリケーション開発の移植性を解決し、同じソースで複数のプラットフォームに対応したアプリケーションを作る事が出来ます。また、OSによるUIもネイティブな物を使用している為OSに馴染むUIを使える利点があります。

当ブログでは「QtCreator」を使用し、UIデザイナ等の機能は一切使用しません。また当記事は今後配信するQt情報のベースとなる基礎的な内容を記載して行きます。

## Hello Worldを表示

### 基本的な記述

Qtのアプリケーション開発を始めるには必ず`QApplication`ヘッダーをインクルードする必要があります。

主に次の様な流れで記述して行きます。`QApplication`インクルード→main引数の`argc, argv`を`QApplication`に渡す→main関数の戻り値に`a.exec();`を渡す。

```
#include <QApplication>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

return a.exec();
}
```

`QApplication a(argc, argv);`〜`return a.exec();`の間に主なプログラムを記述して行くのがQtのスタイルです。

### コンソールにHello Worldを表示

コンソールに文字列やデータを表示するには`QDebug`が必要になります。
QDebugの`qDebug()`を使う事でQtCreatorの「アプリケーション出力」から渡した値を見る事が出来ます。

```
#include <QApplication>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

qDebug() << "Hello World";

return a.exec();
}
```

```
 >> Hello World
```

### 画面上にHello Worldを表示

画面上に文字列等を表示するには`QLabel`が必要になります。QLabelはQObjectとQWidgetを継承したクラスで、画面上に文字列等を表示する事が出来ます。
QLabelのインスタンスをして`show()`メソッドを実行する事で利用出来ます。

```
#include <QApplication>
#include <QLabel>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

QLabel *label = new QLabel("Hello World");
    label->show();

return a.exec();
}
```

QWidgetを継承したクラスなので`show()`を実行する事で簡単にGUIを使う事が出来ました。また`setFixedSize()`でWidgetのサイズ等も調整や表示位置の調整も可能です。但し、この記法はQLabelWidget親とし表示している為実用的ではありません。

## ウィンドウを作成する

ウィンドウを作成するには`QWidget`が必要です。QWidgetは空のボックスの様な物でHTML等で言う`div要素`の様になります。またQObjectも継承しており、各GUIウィジェットのオブジェクトを入れ子にして管理する事が出来ます。

ウィンドウを作成するにはまず空のQWIdgetを作成し、これを親として各ウィジェットを入れ子にしてフォームアプリケーションを作成します。

```
#include <QApplication>
#include <QWidget>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

QWidget *window = new QWidget;
    window->show();

return a.exec();
}
```

これで簡単に空のウィンドウの作成が出来ました。
`show()`は画面上に表示するメソッドで、別のQWidgetのインスタンスを同じくshow()メソッドで実行する事で別ウィンドウを作成する事も出来ます。

またウィンドウの装飾については[ウィンドウのあれこれ](https://code-note-jp.blogspot.com/2019/03/qt.html)にて説明しているのでそちらをご覧ください。

## ウィジェットを入れ子にする

フォームアプリケーションを作成する際、ウィンドウとなる親のQWidgetにその他ウィジェット(ラベル・ボタン)を入れ子にして行く必要があります。
QWidgetに直接ラベルやボタン等のGUI部品を子にする事が出来ません。QWidgetは全く空のボックスの様な物で、ラベルやボタン等のウィジェットを入れてしまうとごちゃごちゃになってしまう為、QLayoutを使ってボックスの中を整理出来る様にする必要があります。

### レイアウト

QLayoutで一纏めにしたウィジェット群をQWidgetに渡す事で、ウィジェットを自動的に縮小したり、キレイな余白等で整理してくれます。またレイアウトはレイアウトの入れ子にする事が出来ます。

|QLayout|説明|
|:----------|:----|
|QHBoxLayout|水平方向に並べるレイアウト (←→)|
|QVBoxLayout|垂直方向に並べるレイアウト(↑↓)|
|QGridLayout|グリッドレイアウト|
|QFormLayout|フォームレイアウト|

QWidgetにレイアウトをセットする場合は、QLayout(上記表のどれか)をインスタンスし、QWidgetの`setLayout()`メソッドにレイアウトオブジェクトを渡します。

```
#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QVBoxLayout>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

QWidget *window = new QWidget;
    QVBoxLayout *Layout1 = new QVBoxLayout;

window->setLayout(Layout1);
    window->show();
    return a.exec();
}
```

-----

QLayoutにウィジェットをセットする場合は、`addWidget`メソッドにウィジェットのオブジェクトを渡します。
また、この時ウィジェットは親のQWidgetを親としてshow()メソッドを実行している為、子のウィジェットはレイアウトにセットするだけでいいです。

```
#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QVBoxLayout>
#include <QLabel>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

QWidget *window = new QWidget;
    QVBoxLayout *Layout1 = new QVBoxLayout;
    QLabel *label1 = new QLabel("文字列1");
    QLabel *label2 = new QLabel("文字列2");

Layout1->addWidget(label1);
    Layout1->addWidget(label2);

window->setLayout(Layout1);
    window->show();
    return a.exec();
}
```

## ウィジェットのイベント (シグナルとスロット)

フォームアプリケーションではユーザーの操作に対応する必要があります。ボタンをクリックした時やドロップダウンメニューの選択をした時等ユーザーの操作をするとイベントが発火します。Qtではこのイベントを"シグナル"と"スロット"を使い、実装します。

イベントはQObjectの`connect`メソッドを使います。connectには主に3つの引数があります。
```
connect(ウィジェット, シグナル, スロット);
```
第一引数 : 対象となるウィジェット    
第二引数 : イベントの種類    
第三引数 : イベントが発火した時に実行する関数

```
    //PushButton widget
    QPushButton *button = new QPushButton("click!");
    //PushButton Event
    QObject::connect(button,  &QPushButton::clicked, [=]{
        Message->setText("onClick!");
    });
```

これは[ラムダ式](https://code-note-jp.blogspot.com/2019/03/c.html)を使用したもっともQtでは近代的な記法です。

`&QPushButton::clicked`はシグナルを示しており、このシグナルが発生した際に第三引数に渡されたコールバック関数が実行されます。

## まとめ

```
#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QVBoxLayout>
#include <QLabel>
#include <QPushButton>
#include <QObject>

int main(int argc, char *argv[])
{

QApplication a(argc, argv);

QWidget *window = new QWidget;
    QVBoxLayout *Layout1 = new QVBoxLayout;

//Label widget
    QLabel *Message = new QLabel("no");

//PushButton widget
    QPushButton *button = new QPushButton("click!");
    //PushButton Event
    QObject::connect(button,  &QPushButton::clicked, [=]{
        Message->setText("onClick!");
    });

Layout1->addWidget(Message);
    Layout1->addWidget(button);

window->setLayout(Layout1);
    window->show();
    return a.exec();
}

```

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